開発物語

お客様に高い評価を頂いている製品は数々の試行錯誤を経て作られています。

その根底にあるのは高いチームワーク力です。

 ファインガード3(FG3)の「3」は3回の改良を重ねて確立した技術を意味しています。ここではその軌跡を辿ります。

 

 ステンレスの美麗な外観を維持するには、こまめなメンテナンスが欠かせません。指紋や手垢の目立ちやすいステンレスはそれを除去しようと強く拭くと素地を傷めてしまうこともあり、扱いが難しいことが永年の課題でした。従来、クリア塗装により耐指紋の機能を持たせる手法もありましたが、塗膜が厚いためにステンレスの質感が損なわれ、さらに紫外線による樹脂劣化に起因した塗膜の変色、変質や剥離などが問題となり、ユーザーのニーズを満たすことは出来ませんでした。

 

 1995年、当社はポリフッ化ワックスのコーティング液(FG1)を開発し、ユーザーにコーティング液を販売して完成品にFG1を塗布してもらう形を取りました。完成品への塗布作業に手間がかかること、クリア塗装と同様に経年劣化があり性能維持のために定期的な上塗りが必要となることから採用は広がりませんでした。

 

 2002年、ビルや住宅の外装に使われていた光触媒技術を応用したファインガード2(FG2)を開発しました。しかし、室内光での長期の触媒性能を保証出来ず、実用化には至りませんでした。

 

 汚れ防止処理としてフッ素やシリコンなどの樹脂を使用した「撥水性被膜」が主流である中で、当社は2006年に業界で初めて「極薄親水性皮膜」ファインガード3(FG3)の開発に成功しました。

 

 当社の開発したファインガード3(FG3)は厚み約1μmのガラス質の無機皮膜で、ステンレスの質感を損なわず、長期にわたって防汚性能を発揮します。その優れた効果を確信し、2009年にFG3コーティング技術を確立し、2011年には連続コーティングラインを設置して量産対応を可能にしました。

   海外を含めて、耐指紋・耐汚染コーティングは数多く発売されていますが、メンテナンス時に水拭きするだけで汚れを落とすことが出来るファインガード3は業界NO.1の評価と実績を誇っています。



開発担当者の声

製造部長 竹下 文晴

(FG3開発当時は開発課長)

 

ステンレスは意匠性が高く美観に優れる一方で、指紋汚れや清掃に手間がかかるなどの難点があり、美観を維持できる持久性のある保護コートの開発が長年のテーマでありました。FG3製品化にあたりさまざまな問題やトラブルがありましたが、きっとお客様に喜ばれると信じ、営業、開発、製造部門が一つになって実現できた商品です。これからもさまざまな用途へと、世界中へと幅広く展開していきたいと考えています。


アンティークカラー(ファインカラーノイエス)

  銅合金(丹銅や真鍮)の硫化いぶし仕上げのような古美調の色彩をステンレスで表現できないか、そこからアンティークカラーの開発は始まりました。

 エッチング、研磨、化学発色など複合工程を経るアンティークカラーを新商品として発売開始したものの、材料ロット毎、ひどい時には1枚毎に色調差や色むらが発生し、品質が安定しませんでした。そのため、工程歩留が悪く、クレームも続発することになり、販売を制限するところまで苦境に陥りました。

 

そこで、各工程での品質改善に向けた取組みが始まりました。エッチングでは酸液スプレー、搬送ロール、液温、液比重などの条件を見直し、研磨工程では研磨条件を見直し、化学発色後の色調に影響を及ぼす各工程間で何度も条件確認を行いました。

さらに、研磨ラインも改造し、研磨目の均質化を図りました。

 約2年の改良を経て安定量産可能となり、2014年には北陸新幹線開通でリニューアルされた金沢駅舎のフレームに、その後、美術館、銀座SIX店舗などに採用していただきました。

 2017-2018年にかけて、ROLEX、LEXUS全国店舗での採用が広がり、品質が最も厳しいとされるエレベーターへの採用も始まりました。現在では当社の主力製品の一つになっています。

 

 この複合工程技術によるアンティーク製品は、久しく新色の開発がなかったファインカラー(化学発色)に新たな可能性をもたらしました。また、アンティーク仕上げ材のノイエス(スパッタリング)も各色シリーズ化して発売しており、好評を得ています。